こどもスタディツアー『北の大地でカムイを学ぼう! in 北海道』4日目
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スタディツアー4日目です。
この日は半日は見学、半日が移動というハードスケジュールですが、子ども達は最終日を楽しもうと朝から張り切っています!
スタディツアー最終日の活動の様子をご紹介します!
朝は部屋を出る準備から始めました。
3泊過ごしてきた部屋ですから、荷物の場所や部屋内の雰囲気が自分に馴染んできていたようですが、もう出なければなりません。
シーツをたたんだり、布団をしまったり。
自分の荷物をまとめるもの朝のこの時間に行いました。
▽子ども達の『自分のことは自分でする』という意識は3日間で大きく成長しました!
身支度が済んだら朝食です。
この日も1日は長いですから、楽しく活動できるようにご飯をモリモリいただきます!
朝食はいつもと同じ食堂でしたが、この日の宿泊団体は私たちだけ。
昨日まで200人以上がご飯を食べていた広い食堂でしたが、この日はとても静かでした。
【アイヌ記念館で学ぶ】
今日は旭川にあるアイヌの記念館で、アイヌ文化について学びます。
子ども達は「どんな感じなんだろうね!」ととても楽しみな様子です!
入ったら、記念館のスタッフの方にごあいさつ。
アイヌについてのお話を聞いたり、展示について紹介していただきました。
子ども達は事前学習で学んでいるので「あー知ってる!」と楽しげな様子!
見たことのないアイヌの着物や道具にも興味津々で、自身の知っている情報とリンクさせることで知識を深めていきました。
▽動物を捕らえるための仕掛けです。「人間が引っかからないようにしないと!」と子ども達は実際に使うシーンを想像していました。
また、子ども達を驚かせたのはアイヌの人の作品の繊細さです。
よく知られているもので言えば、木彫りのクマなどがあるかと思います。
スタッフの方の話によると彫り方にはそれぞれ個性があり、同じ集落の人であれば作ったものを見ただけで誰が作ったものかが分かるほどだそうです。
『小さい折り紙でツルを折る』『包丁を使って野菜を細かく切るお手伝い』『線に沿ってハサミで紙を切る』のように、子ども達はこれまでにたくさんの細かいと感じる作業を体験してきたと思います。
そんなこれまでの子ども達の人生の経験と比較することで、「あれがあんなに難しかったのだから、この細かさはすごい」ということを感じられたのだと思います。
▽ヒグマの手形。「これって本物なの?」と子ども達もビックリです!
展示を見終わった後には、歌や踊りについて教えていただきました。
歌や踊りは儀式の時などに用いられることが多く、意味としては先祖やカムイへ敬意を示しています。
儀式以外では子守歌などもあるようで、生活の中に歌や踊りがたくさんあるそうです。
下の写真は『バッタキ ウポポ』という踊りを教えていただいている様子です。
『バッタキ』は『バッタ』、『ウポポ』は『歌』という意味で、過去にバッタが大量発生し農作物に大きな被害をもたらしたことを後世に伝えるためのものだそうです。
みんなで丸くなって実際に踊ってみます。
▽前かがみになって、手は後ろに伸ばします。
▽後ろに伸びた手がバッタの後ろ足のようですね!
他にも歌や踊りをいくつか教えていただきました。
ライトマンが聞いていて気づいたこととしては、事前学習の際に宇佐さんに教えていただいた歌と少し違っていたことです。同じ歌として教えていただいたのですが、雰囲気やメインのフレーズは同じでも細かい部分に違いがありました。(アイヌ語が分からないので、どの単語が違うというところまでは分かりませんでした…。)
スタッフの方に聞いたところ、「そういう事もありますよ」とのこと。
このスタディツアーで教えていただいたのは旭川地方で歌われたものですが、宇佐さんは釧路地方のアイヌの方なので、そのような違いがあったのかもしれませんね。(旭川と釧路は200㎞以上離れています)
記念館の外にはチセ(アイヌの家)があるので、こちらの中も見学させていただきました。
チセの中には火を準備してくださっていました。
事前学習の際に写真で見ていた室内でしたが、実際に入ってみるととても広く暖かかったです。
アイヌの方がここで生活していた際には、この火は絶えず燃えており、夜中などの薪を入れられない時には手前にある大きな丸太を入れて火を点け続けたそうです。
▽火を囲んでいる枠木も手前だけは丸太を入れるためにありません。
▽鮭も干してありました!
こうして、アイヌ記念館の見学が終わりました。
チセに入る体験は北海道でしかできない体験であり、アイヌの方が実際に生活していたときの様子やどのようなくらしをしていたのかが想像できる貴重な体験でした。
文化の継承が口頭伝承であるアイヌは、アイヌ人口が減っていることなどによって文化自体が無くなってきていると言われています。
また、研究によって文書として残されているものもありますが、その文化が記録として残っているのはアイヌについて研究されるようになった近年のものです。ですから、文字として継承されなかった情報、だれにも伝えられなかった情報はそこで途絶えてしまいます。
日本の先住民であるアイヌは過去のものではなく、今守らなければなくなってしまう文化であるということを再認識しました。
近代文明の中で生活していると『アイヌは教科書のものだ』と感じてしまいがちになりますから、それは大人が子ども達へ伝えていかなければならないと思います。今回、その文化の一端に触れることができたのは、とても大切なことであると感じました。
最後にチセで記念撮影をして、記念館の見学が終わりました。
記念館からは空港へ向かいました!
途中、アイヌの方が経営されているお弁当屋さんで購入したお弁当を受け取り、空港でご飯を食べました。
あとは、みんなのお家の人が待っている空港まで飛行機で移動します。
空港でお家の人の顔を見ると、子ども達はスタディツアーモードから甘えん坊モードに早変わり。
口では「もっと行きたかった!」と言っている子ども達ですが、表情はどこかホッとしているようにも見えました。
『-8℃を自分の身体で体験したこと』
『シカが道にいるところを発見したこと』
『バッタの踊りをみんなでしたこと』
『自分の身の回りの準備を自分でしたこと』
今回のスタディツアーで子ども達はたくさんのことを学びました。
子ども達には『学ぶ』ということが椅子に座って本を読むことだけではないということを少しは感じてもらえたのではないかと思っています。
現代は子ども達がインターネットを簡単に使えるようになり、たくさんの情報を得られるようになりました。ですが、それによって頭でっかちになっている子も増えているように感じます。
たしかに写真や動画で得られる情報もありますが、今回参加した子たちは360°広がる景色の真ん中に立ち、雰囲気やにおい、触感、暑さや寒さ、美味しさなど五感を使って『本物』を体験しました。この体験はインターネットでは到底得られないものでしょう。
今後も子ども達には『本物』を体験しながら、たくさん遊び、より豊かな心と体で成長していって欲しいと思います。
充実した4日間でした!
ライトマン